「自分だけのデザインで特別な1枚を作りたい」そんな思いを形にするオリジナルTシャツ。
ただ、いざ作ろうとすると「どんなプリント方法を選べばいい?」「仕上がりや耐久性に違いはあるの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Tシャツプリントの主な種類(シルクスクリーン、インクジェット、転写プリントなど)について、それぞれの特徴・仕上がり・耐久性の違いをわかりやすく解説します。
初めてオリジナルTシャツを作る方はぜひ参考にしてください。
【比較】Tシャツへのプリント方法の種類
まずは、代表的なTシャツのプリント方法とその特徴や違いを比較表でみていきましょう。
項目 | シルクスクリーンプリント | インクジェットプリント | 転写プリント | 昇華プリント | アイロンプリント |
---|---|---|---|---|---|
耐久性 | ◎ 非常に高い。洗濯に強い | △ 標準的 洗濯で徐々に色褪せることも | ◯ 比較的高い シート品質による差あり | ◎ 非常に高い インク剥がれなし(※ポリエステル限定) | × 低い ひび割れや剥がれが起きやすい |
概要 | 色ごとに版を作り、インクを刷り込む伝統的な手法 | 生地に直接インクを吹き付けるデジタル方式 | デザインをシートに印刷・カットし、熱で圧着 | インクを気化させ、ポリエステル繊維に染み込ませる方式 | 家庭用プリンター + アイロンでシートを貼り付けるDIY方式 |
発色・仕上がり | ◯ 鮮やか。特に濃色Tシャツ向き。インクに厚みあり。ただし、淡色インク使用時は生地色が透ける場合あり(白打ち対策可) | ◎ フルカラー・写真・グラデ対応。柔らかい仕上がり | ◯ ラバー転写:くっきり単色 DTF転写:フルカラー対応。ややシート感あり | ◎ フルカラー・写真も鮮やか。生地の風合いそのまま | △ フルカラー対応も、シート感が強くごわつきやすい |
相性の良いTシャツ素材 | 綿・ポリエステル・混紡など幅広く対応 | 綿が最適 ポリエステル素材は苦手 | 綿・ポリエステル・混紡対応 ※ナイロンや撥水生地は不向きな場合あり | ポリエステル100%限定(白・淡色生地向き) | 綿・綿ポリ混紡が推奨 |
適した枚数 | 大量(30枚以上目安) | 少量(1枚〜)から | 少量~中量(1枚〜) | 少量(1枚〜) | 極少量(1枚〜数枚のDIY用途) |
自作の可否 | △ 専用機材と技術が必要 | × 専用大型機材が必要 | △ 市販シート+家庭用アイロンで簡易的に可能 | × 専用機材が必要 | ◎ 手軽に自作可能 |
プリント方法によって、得意なことや苦手なことが異なることがわかりますね。
ここからは、代表的な「シルクスクリーンプリント」「インクジェットプリント」「転写プリント」を詳しくみていきましょう。
シルクスクリーンプリント(ラバープリント)とは
シルクスクリーンは、古くから広く使われている定番のプリント方法です。
デザインの色ごとに「版」という型を作り、Tシャツの上に置いてインクを刷り込みます。
1色につき1つの版が必要なため、3色デザインなら3つの版を用意して刷る形になります。
よく耳にする「ラバープリント」とは、シルクスクリーンプリントの中でも「ラバーインク」を使った方式を指します。
ラバーインクは、少し光沢があり、ゴムのような厚みと弾力を持つ仕上がりが特徴です。
特に、濃い色のTシャツにも発色が良く、耐久性に優れているため、アパレル製品のTシャツでもっとも多く採用されています。
シルクスクリーンプリントのメリット
シルクスクリーンのメリットを3つ紹介します。
耐久性が高い
刷り込んだインクが生地になじむため、洗濯や摩擦に強く、色落ちやひび割れが起きにくいのが大きな特徴です。長期間着用するTシャツや、ユニフォームなどにも適しています。
大量生産でコストが下がる
1度版を作れば、同じデザインを何度でも刷れるため、30枚、50枚といった大量生産になるほど1枚あたりのコストが安くなります。
クラスTシャツやイベントTシャツなど、まとまった枚数を作りたいときに向いています。
特殊インクによる表現ができる
シルクスクリーンでは、通常のインクに加え、ラメ、発泡インク(ぷっくり膨らむ表現)、メタリックカラー、蓄光インク(暗闇で光る)など、特殊なインクも使用可能です。
個性的な仕上がりにしたいときにも選択肢が広がります。
シルクスクリーンプリントのデメリット
デメリットを3つ紹介します。
少量生産だと割高になる
版を作成するための初期コストがかかるため、10枚未満の小ロット生産では1枚あたりの価格が高くなりやすいです。少数だけ作りたい場合は、ほかのプリント方法も検討したほうがよいでしょう。
色数が増えるとコストも増加
シルクスクリーンでは、色ごとに別々の版を作る必要があるため、使う色が多いほど制作コストが上がります。
3色、4色と複雑なデザインになると、その分費用に注意が必要です。
写真やグラデーション表現には不向き
微妙な色のグラデーションや写真のようなフルカラープリントには適していません。
表現したいデザインが細かい場合は、インクジェットプリントなど別の方式を検討したほうがよいケースもあります。
インクジェットプリントとは
インクジェットプリントは、家庭用プリンターのような仕組みで、Tシャツの生地に直接インクを吹き付けてデザインを印刷する方法です。
版を作る必要がないため、コストを抑えながら少量からでもプリントできる点が大きな特徴です。
また、フルカラー印刷にも対応しており、写真やグラデーションなど繊細な表現にも適しています。
なお、インクジェットプリントは綿素材への印刷が基本であり、ポリエステルなどの化学繊維には向いていません。

インクジェットプリントのメリット
インクジェットプリントのメリットです。
少量から安価に作れる
版を作成する必要がないため、1枚からでも気軽に注文でき、少量制作でもコストを抑えやすいのが魅力です。
イベントTシャツや個人向けのオリジナルTシャツにも向いています。
フルカラー・写真表現が得意
写真、イラスト、多色グラデーションなどの複雑なデザインもきれいに再現できます。
色数による追加コストも発生しないため、色彩豊かなデザインをそのまま表現したい場合に最適です。
仕上がりが柔らかい
インクが生地に直接染み込むため、プリント面がゴワつかず、柔らかな風合いに仕上がるのも特徴です。
着心地を重視したいTシャツにぴったりです。
インクジェットプリントのデメリット
反対にデメリットもあります。
素材が綿中心に限定される
インクの定着性の問題から、綿100%、または綿80%以上の混紡素材が推奨されます。
ポリエステルやナイロンといった化学繊維にはインクが乗りにくく、プリントが不鮮明になるため適していません。
耐久性はやや劣る
洗濯を重ねるうちに、色褪せやインクのにじみが発生する可能性があります。
シルクスクリーンに比べると、長期使用における耐久性ではやや劣る傾向があります。
特殊インクによる表現はできない
インクジェットは水性インクを使用するため、ラメ、メタリック、発泡インクなど特殊な効果を使った表現はできません。
個性的な質感や光沢を求める場合は、ほかのプリント方式を選ぶ必要があります。
自作には専用機材が必要
家庭用プリンターとは異なり、Tシャツに直接印刷できる専用の大型プリンターが必要です。
個人で自作するにはハードルが高いため、基本的には業者への依頼が前提となります。
転写プリントとは
転写プリントとは、デザインを特殊なシートやフィルムに出力・加工し、熱と圧力でTシャツに圧着(転写)する方法の総称です。
「熱転写」と呼ばれることもあります。
版を作らずにプリントできるため、小ロットや個別対応に適しており、最近では用途に応じた多彩な技法が選べるようになっています。
転写プリントには主に以下の2つのタイプがあります。
ラバー転写(カッティング転写)
単色のラバーシートや特殊シートをデザインの形にカットし、熱で圧着する方法です。
スポーツチームの背番号や、クラスTシャツで1人ひとり異なる名前・番号を入れる場合など、個別カスタマイズが得意な点が特徴です。
- 色の数だけ異なるシートが必要
- フルカラー表現はできない
- ラメ、メタリック、蛍光など特殊なシートを使った表現が可能
DTFプリント
専用フィルムにフルカラーのデザインと接着剤を直接プリントし、そのデザイン部分のみを熱で転写する方式です。
フルカラー対応かつ自然な仕上がりが特徴で、近年急速に普及しています。「watasiino!!」では、最新のDTFプリンターを導入しており、1枚~1万枚までの注文に迅速に対応することが可能です。
- フルカラーの写真やイラストに対応
- 輪郭に不要なフチがつかない自然な仕上がり
- 柔らかい風合いを維持しやすい
※なお、家庭用アイロンプリントも転写プリントの一種ですが、耐久性や仕上がりはプロ仕様に比べると劣ります。
転写プリントのメリット
転写プリントのメリットは主に以下の4つです。
小ロット向き(ラバー・DTF共通)
版が不要なため、1枚からでも比較的安価に制作できる点が強みです。
少量オーダーや試作に向いています。
対応素材が広い(ラバー・DTF共通)
綿だけでなく、ポリエステル、ナイロンなど幅広い素材に対応可能な場合があり、インクジェットでは難しい素材でもプリントできることがあります。
(※素材によっては専用シートが必要)
くっきりしたデザイン表現が得意(ラバー転写)
ラバーシートをカットして圧着するため、ロゴや背番号など輪郭のはっきりしたデザインがきれいに仕上がります。
1枚ずつ異なるデザインにも対応可能です。
フルカラー対応(DTFプリント)
DTFプリントなら、フルカラーの写真や複雑なイラストも鮮やかに再現できます。
また、デザインの周囲に余計なフチがつかず、より自然な見た目に仕上がるのも特長です。
転写プリントのデメリット
反対に転写プリントのデメリットです。
シート感が出ることがある(ラバー・DTF共通)
デザイン部分にフィルム特有の質感が残るため、通気性がやや損なわれる場合があります。
特に大面積のプリントではごわつきが気になることも少なくありません。
大量生産には向かない(ラバー・DTF共通)
小ロット向きではありますが、大量枚数(50枚、100枚以上)になるとコストが割高になり、シルクスクリーンのほうが経済的になるケースもあります。
表現方法に制約がある
ラバー転写は色数に制限があり、フルカラー表現ができません。
DTFプリントも、現状ではラメ・蛍光・メタリックなど特殊な質感の表現には対応していません。
細かい表現が苦手な場合も
ラバー転写はカット方式のため、極端に細かい線や複雑なデザインは難しいとされています。
また、DTFプリントもインクが生地に染み込むわけではないため、水彩画のような柔らかい「ぼかし表現」にはあまり向きません。
【目的別】適したTシャツへのプリント方法の種類
「結局、自分にはどのプリント方法が合っているの?」
そんな疑問にお答えするため、目的別におすすめのプリント方法を紹介します。
自作したい場合(セルフ)
「事業者に頼まず自分で作りたい!」というDIY派には、主に3つの方法があります。
アイロンプリントシート
家庭用プリンターで専用シートにデザインを印刷し、アイロンでTシャツに転写するもっとも手軽な方法です。
家電量販店や100円ショップでも手に入りますが、耐久性は低めです。
市販のカッティングシートやDTFシートでアイロン転写
市販のラバーシートやグリッターシートをハサミやカッターで切り抜き、アイロンで貼り付ける方法です。
デザインされた既製品シートもあり、また家庭用カッティングマシン(約25,000~70,000円)を使えば複雑なデザインも可能です。
最近では、事業者から購入できるDTFシートを使い、自宅のアイロンで本格的なプリントをするスタイルも増えています。
シルクスクリーンキット
「Tシャツくん」などの家庭用キットを使えば、本格的なシルクスクリーンプリントが可能です。
版作りや刷り作業に手間と技術が必要ですが、仕上がりのクオリティは高めです。
写真や画像をプリントしたい場合
お気に入りの写真やイラストをきれいにプリントしたいなら、フルカラーが得意な方法を選びましょう。
- インクジェットプリント
写真や繊細なイラストの再現性が高く、綿Tシャツに適している - DTF転写プリント
フルカラーが得意で、ポリエステルなどにも対応できる場合あり - 昇華プリント
ポリエステル素材限定。写真も鮮やかで生地の風合いを損なわない - アイロンプリント
品質は劣るが、家庭用プリンターで印刷して手軽に自作可能
ひび割れや剥がれを防ぎたい場合
耐久性重視の方には、以下の方法が向いています。
なお、洗濯時は裏返してネットに入れるなど、丁寧な取り扱いも長持ちのコツです。
- シルクスクリーンプリント
耐久性が非常に高く、洗濯を繰り返しても色落ちやひび割れが起きにくい - 昇華プリント
ポリエステル素材限定。インクが繊維を染めるため、剥がれやひび割れの心配なし - DTF転写プリント
比較的新しい技術で、耐久性が高い
ラメプリントがしたい場合
キラキラしたラメプリントやホログラム、蓄光など、特殊な加工をしたい場合は以下の方法が適しています。
- シルクスクリーンプリント
ラメインク、発泡インク、蓄光インクなど、さまざまな特殊インクを使用できるため、個性的な表現に向いている - ラバー転写
ラメ入りやホログラム風など、特殊なラバーシートを使ったプリントが可能。シートを選べば、比較的簡単に特殊効果を取り入れられる
手書きデザインをプリントしたい場合
手書きの温かみを活かすには以下の方法がおすすめです。
データ化してプリント
手書きのイラストや文字をスキャンまたはスマホで撮影し、データ化した上で事業者にプリント依頼する方法です。
この方法なら、ほぼすべてのプリント方式に対応可能で、きれいに長持ちする仕上がりが期待できます。
布用画材で直接描く
布用ペンや布用絵の具を使ってTシャツに直接描けば、世界に1つだけのオリジナルTシャツが完成します。
ただし、仕上がりや耐久性はプロ仕様には劣るため、ギフト用や長期使用を考える場合は注意が必要です。
【FAQ】Tシャツへのプリントに関するよくある質問
Tシャツプリントにまつわる、よくある疑問にお答えします。
Tシャツにプリントする機械の名前は?
プリント方法によって、使う機械はさまざまです。
特定の「Tシャツプリント機」というものがあるわけではなく、目的に応じた専門機材が使われます。
【DIY(自作)で使用する機材】
- プリンター
- アイロン
- カッティングマシン
- シルクスクリーンキット
【事業者が使用する機材】
- 製版機(版の作成に使用)
- 自動印刷機(大量のTシャツを自動で印刷)
- 乾燥機(インク定着用)
- DTG(ダイレクト・トゥ・ガーメント)プリンター(インクジェット式)
- 前処理機(DTG印刷用に生地を整える)
- 熱プレス機(転写プリントなどの圧着用)
- DTFプリンター(フィルム転写用)
- 昇華プリンター(ポリエステル専用)
- パソコン(デザイン作成・出力管理)
Tシャツにプリントするデザインのデータ形式は?
事業者に依頼する場合、主に以下のデータ形式が使用されます。
それぞれの特徴と注意点を把握しておきましょう。
データ形式 | 拡張子 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|---|
AI | .ai | ロゴやイラスト向き。拡大縮小しても劣化しない | Adobe Illustrator必須。文字はアウトライン化する |
PSD | .psd | 写真や色彩豊かなデザイン向き | Adobe Photoshop必須。原寸300dpi以上推奨 |
環境を問わず確認可能。ベクター・ラスター両対応 | 解像度やカラーモード(CMYK/RGB)に注意 | ||
JPG/JPEG | .jpg, .jpeg | 写真データ向き。軽量ファイル | 背景は透明にできない。高解像度推奨 |
PNG | .png | Web画像向き。背景を透過できる | ファイルサイズが大きくなりやすい。高解像度推奨 |
ロゴやイラストにはベクターデータ(AI、PDF)、
写真やイラスト作品にはラスター形式(PSD、JPG、PNG、PDF)が適しています。
特に原寸サイズで300dpi以上の解像度を推奨する場合が多いので、事前に依頼先の推奨条件を確認しましょう。
Tシャツのプリントに使われるインクの種類は?
インクの種類によって、仕上がりや耐久性が大きく異なります。
インクの種類 | 主なプリント方法 | 特徴 |
---|---|---|
油性ラバーインク | シルクスクリーン | 厚みがあり、耐久性◎。濃色Tシャツにも対応しやすい |
水性ラバーインク | シルクスクリーン | 軽く自然な風合い。淡色Tシャツ向き |
特殊インク(ラメ・発泡・蛍光・蓄光・メタリックなど) | シルクスクリーン | 個性的な質感や視覚効果を演出できる |
水性顔料インク | インクジェット DTFプリント | 柔らかい仕上がり。生地になじむ |
昇華インク | 昇華プリント | ポリエステル繊維を直接染色。耐久性◎、ただし濃色生地には不向き |
※どのインクも漂白剤の使用は基本的にNGです。プリント面を長持ちさせたい場合は、中性洗剤+ネット使用など、優しい洗濯方法を心がけましょう。
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