ライブやイベント、オンラインショップなどで、オリジナルワッペンの販売を考えたときに気になるのが「商用利用」の扱いではないでしょうか。
自作だから問題ないと思っていた、素材は買ったものだから自由に使えるはず、そんな認識のまま進めてしまうと、思わぬトラブルにつながることもあります。
この記事では、販売用ワッペンやワッペン付きアイテムを扱う際に押さえておきたい商用利用の考え方を、具体例を交えながら解説します。
そもそも商用利用とは
商用利用とは、ざっくり言うと「お金やビジネスに関わる使い方」を指します。
実際に商品として販売するケースはもちろん、集客や宣伝など、間接的に事業につながる利用も含まれるのが特徴です。
個人の趣味か仕事か、法人か個人かといった立場はあまり関係なく、「その使い方が営利目的と結びついているか」という視点で考えましょう。
商用利用にあたる例・あたらない例
<商用利用にあたる例>
- 商品を制作し、対価を受け取って販売する
- イベントや展示会で販売目的の物を配布する
- 店舗やサービスの宣伝素材として使用する
- 収益化しているWebサイトやSNSで使用する
これらは、直接・間接を問わず、お金の流れや事業活動と関係している使い方です。たとえ無料配布であっても、販促目的であれば商用利用と考えられます。
<商用利用にあたらない例>
- 個人で楽しむために作成・使用する
- 家庭内や私的な範囲で配布する
- 収益化していない個人SNSの投稿に使う
あくまで私的な範囲で完結している場合は、商用利用にはあたりません。ただ、判断が難しいケースもあるため、少しでも不安があれば利用条件を確認しておくと安心です。
ワッペンにおける代表的な商用利用
ワッペンは身近なアイテムですが、使い方によってははっきりと商用利用にあたります。
ここでは、実際によく見られるケースを取り上げながら、どのような場面が商用利用と考えられるのかを整理していきます。
ワッペン単体・ワッペン付き製品を商品として販売
- オリジナルワッペンを単体で販売する
- ワッペン付きのTシャツ・キャップ・バッグを販売する
- ECサイト、イベント、ポップアップで販売する
ワッペンそのものを商品として販売する場合はもちろん、ワッペンを付けたアパレルや雑貨を販売するケースも商用利用に含まれます。販売場所がオンラインか対面かは関係なく、対価を受け取る形であれば基本的に商用です。
ワッペンを企業・店舗のユニフォームに付ける
- 飲食店スタッフのエプロンや制服にワッペンを付ける
- 建設・運送・警備などの作業着に社名ワッペンを付ける
- 展示会・イベント用スタッフジャンパーに付ける
ユニフォームにワッペンを付ける行為は、企業や店舗の活動と結びついた利用です。販売目的ではなくても、事業の一部として使われるため、商用利用として扱われます。
ロゴや名称が入る場合は、権利関係の確認も必要になります。

ノベルティ・販促物として配布
- 展示会・イベントで無料配布するワッペン
- 商品購入特典として付けるワッペン
- 採用イベント・キャンペーンで配るグッズ
無料で配布する場合でも、販促や集客を目的としていれば商用利用にあたります。「売っていないから大丈夫」と考えがちですが、目的に注目して判断しなくてはいけません。

ワッペンに関する商用利用NGになりやすいパターン
ワッペンの商用利用では、「自分で作った」「購入した素材を使っている」という理由だけで安心してしまいがちです。実際には、素材やデザインの選び方次第で、意図せずNGに触れてしまうケースも少なくありません。
ここでは、特に間違いが起きやすい代表例を見ていきます。
商用利用不可の生地・素材を使ったワッペンの制作・利用
- 商用利用不可と記載された生地を使ってワッペンを制作する
- 個人利用限定の素材を使ったワッペンを販売する
- 利用条件を確認せずに仕入れた素材を使う
手芸店や通販サイトで購入できる生地の中には、個人利用のみを前提としたものがあります。見た目や価格だけで選び、販売に使ってしまうと、利用条件に反する使い方になります。
購入時の注意書きや利用規約は、制作前に一度立ち止まって確認しましょう。
キャラクター・ブランド・ロゴを含むデザインのワッペン制作・利用
- アニメや漫画のキャラクターをモチーフにしたワッペン
- 有名ブランドのロゴに似せたデザインのワッペン
- 実在企業名やマークを含むワッペン
キャラクターやブランドロゴには、著作権や商標権が関わります。ファンアートの感覚で作ってしまい、販売や配布を行うと問題になるケースもあります。
たとえオリジナル風に描き直していても、元のイメージが想起される場合は注意が必要です。

商用利用不可のイラスト素材・フォントを使ったワッペン制作・利用
- 個人利用のみ許可されたイラスト素材を使う
- 無料フォントを商用利用として使う
- 利用範囲を確認せずにデザインを完成させる
素材サイトやフォント配布サイトでは、利用範囲が細かく定められていることがあります。
商用利用不可と知らずに使ってしまうのは、よくあるトラブルの一つです。デザインが完成してから気づくと修正が難しくなるため、素材選びの段階で条件を確認しておく必要があります。
ワッペンの商用利用に関するよくある勘違い

ワッペンを自分で作って販売したり配ったりするとき、つい「これは大丈夫」と思い込んでしまいがちな勘違いがあります。特にハンドメイド品や無料配布といったケースでは、商用利用の線引きがわかりづらいためです。
ここでは、ありがちな誤解と正しい見方、違反を避けるためのポイントをそれぞれ見ていきます。
ハンドメイド販売は商用利用にあたらないという誤解
ハンドメイド作品を販売する場合、それがどんなに小さな規模でも商用利用にあたります。
「自分で作ったから大丈夫」と考える方も少なくありませんが、利用する素材やデザインによっては権利者のルールに抵触することがあるため注意が必要です。
たとえば、清原株式会社が一部生地の商用利用条件をウェブで案内していて、個人がハンドメイド市場で販売する際の条件や注意点を示しています。
販売の場所や方法によってはガイドラインに沿った表記が求められるケースもあります。企業が自社素材の商用利用条件を定めている例は他にもあり、これを無視して販売してしまうと権利侵害になる可能性があります。
参照:清原商品の商用利用について|X(@Kiyohara_PR)
無料配布や特典利用は非商用だという誤解
次によくあるのが「無料で配るものだから商用利用ではない」という思い込みです。
たとえ対価を受け取らなくても、展示会やイベントで配布することは販促やブランディングを目的とした活動とみなされるため、商用利用と判断される場合があります。特典として付けるワッペンも同様で、購入を促すことが目的であれば商用利用に該当します。
商用利用かどうかは「収益か否か」だけで決まるわけではなく、ビジネスや集客、ブランド価値の向上に関わる活動かどうかが判断材料となります。
他者の利用実績や黙認が許可になるという誤解
同じようなアイテムがネットやイベントで使われていると、「あれは許されているのだから自分も大丈夫」と思い込みやすいものです。
しかし、他者の利用実績や放置されている状況は、公式に許可されたものとは限りません。権利者が見逃しているだけのケースや、条件付きで認められた特定の状況かもしれません。
実際には、利用条件やガイドラインを自ら確認し、必要なら権利者に問い合わせて明確な許諾を得るのが安全です。
ワッペンの商用利用不可を破ったらどうなる?
商用利用不可のルールを守らずにワッペンを制作・販売した場合、いくつかのリスクが考えられます。
たとえば、権利者から使用中止や販売停止を求められることがあり、すでに作った在庫を処分しなければならないケースもあります。
状況によっては損害賠償を請求される可能性も否定できません。
また、ECサイトやイベント運営側から出店停止などの対応を受けることもあります。
商用のオリジナルワッペンを制作するときの注意点
商用利用のトラブルを避けるには、「作る前」にどこまで確認できているかが分かれ道になります。
ここでは、オリジナルワッペンを販売や業務用途で使う際に、最低限押さえておきたい視点を紹介します。
デザインの権利関係を「完全に自社(自分)で持てているか」を確認する
まず大切なのは、ワッペンのデザインに関する権利を誰が持っているかです。自分で描いたイラストであっても、元ネタがある場合や、外部デザイナーに依頼した場合は注意が必要です。
著作権の帰属や利用範囲が曖昧なまま進めると、後から使い続けられなくなることもあります。
使用する素材の商用可否をすべて確認する
生地、糸、イラスト素材、フォントなど、ワッペン制作に使う要素は意外と多くあります。それぞれに利用条件があり、一部でも商用利用不可のものが混ざると、そのワッペン全体が使えなくなる可能性があります。
制作前に一つずつ条件を確認しておくと安心です。
想定していない利用シーンまで含めて問題ないかを考える
最初はイベント販売だけのつもりでも、後からEC販売やノベルティ配布に広がることもあります。
利用シーンが変わっても条件に抵触しないかを事前に考えておくと、用途拡大の際に慌てずに済みます。
販売用の高品質なオリジナルワッペン制作は「watasiino!!」におまかせ
ワッペンを販売や業務用途で使う場合は、商用利用の考え方や権利関係をきちんと押さえたうえで制作する必要があります。
とくにイベントやライブ、店舗展開など、ビジネス用途で使うワッペンには、仕上がりの質や安定した供給体制も求められます。
「watasiino!!」は、販売や業務利用を前提としたオリジナルワッペン制作に対応しています。自社工場を持っているため、短いスケジュールでも対応しやすく、枚数が多い案件でも短納期で納品可能です。
加工方法も刺繍だけに限らず、プリント、熱転写、切り抜き加工、立体感のある3Dワッペンなど、用途やデザインに合わせて選べます。さらに、ベルクロ(マジックテープ)接着、安全ピン加工、フチのヒートカット処理など、実際の使用シーンを想定したオプション加工も豊富です。
また、「このデザインは形にできるか」「イベント用に急ぎで用意したい」など、具体的に決まっていなくても問題ありません。LINEで気軽に相談することも、専用サイトから見積りを依頼することもできます。
まずは、気軽にお問い合わせください。ご希望のワッペン制作の可否についてご案内いたします。
※著作権や肖像権を侵害する恐れのあるデザインでの制作には対応していません。安心して使い続けるためにも、権利関係がクリアなデザインでご依頼ください。

