自分のデザインを使ってTシャツを販売する方法を探している方にとって、「Amazon Merch on Demand」は注目のサービスです。とはいえ、審査や登録の手順、どれくらい利益が見込めるのかなど、不明な点が多くて踏み出せない方もいるはず。
この記事では、「Amazon Merch on Demand」の概要から始め方、稼ぎ方までを解説します。
Amazon Merch on Demandとは
Amazon Merch on Demandは、自分で作ったデザインをTシャツにして、Amazonで販売できるオンデマンドプリントサービスです。
いちばんの魅力は在庫を持たなくてもすぐに始められるところ。デザインをアップロードするだけで、商品ページの作成から製造、発送、カスタマー対応までAmazonが対応してくれます。
売れた分だけロイヤリティが発生する仕組みなので、初期費用や保管場所を気にせず始められます。
Amazon Merch on Demandの特長
Amazon Merch on Demandは、手間をかけずにオリジナル商品を販売したい人に向いています。ここでは、Amazon Merch on Demandの基本的な特長を紹介します。
初期費用ゼロ、在庫も不要で始めやすい
Amazon Merch on Demandの最大の魅力は、Tシャツやスウェットなどのアイテムを在庫を持たずに販売できる点です。登録や出品に費用はかからず、売れた分だけロイヤリティを受け取る仕組みのため、初期投資が必要ありません。
同様に在庫レスで始められるサービスとしてはSUZURIやPrintifyもありますが、SUZURIは日本国内の利用に特化しており、Printifyは海外発送にも対応する一方で、有料プラン(Premium)を契約しないと利益率が下がる傾向があります。


Amazonの販売網で自然に売れるチャンスがある
Merchに登録された商品はAmazon本体に出品され、検索結果や関連商品欄に表示されます。そのため、デザイン力や宣伝力に加え、Amazonの集客力自体が販売を後押ししてくれる仕組みになっています。
これに対してSUZURIやPrintifyは、基本的に自分で販促しなければアクセスを集めることは難しく、SNSなどで積極的に情報発信する必要があります。特に作家やブランドとして知名度がまだない場合、Amazonの流入力は強力な武器になります。
グローバル展開にも対応、海外ファンにも届けられる
Amazon Merchはアメリカを中心に世界各国で展開されており、登録後は自動的に英語圏マーケットでも商品が表示されます。登録時に税務情報(マイナンバーや法人番号)の提出が必要ですが、越境ECの経験がない人でも比較的スムーズに始められる点は魅力です。
一方、SUZURIは基本的に国内限定での販売であり、海外配送や通貨対応は未対応です。Printifyはむしろ海外販売向けに設計されており、複数の印刷・配送業者から国や品質に応じて選択できますが、その分仕組みがやや複雑です。
Amazon Merchはその中間に位置する、手軽さとグローバル展開の両立を実現しています。
類似サービスの特徴も含め比較表にしましたので、自分に合ったサービスを見つけくださいね。
サービス名 | 初期費用 | 在庫管理 | 発送作業 | 販売場所 | 強み |
---|---|---|---|---|---|
Amazon Merch on Demand | 無料 | 不要 | 不要 | Amazon上 | ・集客力が高い ・導入がシンプル |
SUZURI | 無料 | 不要 | 不要 | SUZURI内 | ・デザイン投稿が簡単 ・国内利用に強み |
Printify | 無料〜有料プランあり | 不要 | 不要 | Shopifyなどと連携 | ・商品の種類が豊富 ・自由度が高い |
Printful | 無料 | 不要 | 不要 | 独自サイトやECモール | ・国際配送対応 ・ブランディングしやすい |
参考:
Amazon Merch on Demand|Amazon
SUZURI 公式サイト
Printify 公式サイト
Printful 公式サイト
Amazon Merch on Demandで作れるTシャツについて
どんなに魅力的なデザインでも、土台となるTシャツの仕様によって印象は変わります。作りたい雰囲気に合った一枚を選ぶためにも、あらかじめ特徴を押さえておきましょう。
Tシャツのサイズ・サイズ感
Amazon Merch on Demandで販売できるTシャツは、ユニセックス仕様で、サイズはSから3XLまで幅広くそろっています。商品登録のときに、メンズ・レディース・キッズといったサイズ感を選べるので、ターゲットに合わせて設定しやすくなっています。
ただし、1度公開するとサイズ感の削除はできないため、事前にしっかり決めておきましょう。
Tシャツの生地・品質
Amazon Merch on Demandで扱っているTシャツは、普段使いしやすい素材感とプリントの仕上がりが魅力です。プリントには発色の良いDTG方式が使われていて、細かいデザインもきれいに仕上がります。
素材は綿100%のものが多く、色やタイプによってはポリ混素材の展開もあります。
ほかのアイテム
Amazon Merch on DemandではTシャツ以外にもアパレル商品を取り扱っています。
たとえば、長袖Tシャツやプルオーバーパーカー、スウェットシャツなどがあり、それぞれに専用テンプレートが用意されています。
アイテム | 特徴 | プリント位置例 |
---|---|---|
半袖Tシャツ | ベーシックな人気商品。綿素材が主流 | 前面・背面 |
長袖Tシャツ | 秋冬向けに最適。カジュアル感が強め | 前面・背面 |
プルオーバーパーカー | 厚手であたたかく、アウター代わりにもなる | 前面(胸元)・背面 |
スウェットシャツ | 柔らかな風合いで部屋着にも使いやすい | 前面・背面 |
参考:
よくある質問|Amazon Merch on Demand
商品テンプレートのダウンロード|Amazon Merch on Demand
Amazon Merch on Demandの始め方・登録方法
ここでは、Amazon Merch on Demandのアカウント申請からデザイン登録、販売スタートまでの流れをまとめました。初めてでも流れがつかめるよう申請時のコツもあわせてチェックしてみてください。
1)アカウント作成
Amazon Merch on Demandの利用を始めるには、最初にAmazon.comのアカウントが必要です。日本のAmazon.co.jpアカウントでは登録できないため、新たに作成するか、すでに持っている米国アカウントを使用してください。
- 登録サイトで「招待をリクエストする」ボタンを選択
- 名前・メールアドレス・パスワードを入力し、アカウントを作成
- 認証用の一時パスワードが登録アドレスに届く
- パスワードを入力してアカウントを有効化
- 規約に同意し、次の登録ステップへ進む
2)詳細情報の入力
アカウント作成が完了したら、続いて必要となるのが詳細情報の登録です。入力項目はやや多めですが画面の指示に従って進めれば難しくありません。
項目 | 内容 |
---|---|
アカウント情報 | 氏名・住所・事業形態(個人または法人)などを入力(日本語対応可) |
銀行口座情報 | ロイヤリティの振込先となる口座を登録(SWIFTコード等も必要) |
税務情報 | 米国基準に基づいた質問に回答(マイナンバーまたは法人番号を入力) |
初回登録では、ワンタイムパスワードの入力が2回あったり、SMS認証用に携帯番号を入れたりとちょっとした確認項目があります。しかし、日本からの登録に合わせた画面構成になっているので、初めての人でもわかりやすく進められるはずです。
3)招待申請(審査リクエスト)
招待申請では、自分の活動内容やデザイン経験をAmazonに伝える欄があります。決まった形式はないものの、しっかりと意図が伝わる文章が好まれます。実績が少なくても大丈夫です。
これからやってみたいことやデザインへの思いを具体的に書けば、前向きな姿勢が伝わります。
項目 | 内容 |
---|---|
業種・活動内容 | アーティストやデザイナー、販売事業者などの立場を明記する |
デザイン経験 | イラスト制作、グッズ展開、過去のプロジェクトなどを記載する |
プラットフォーム利用歴 | SNSや通販サイトでの発信・販売経験があれば、具体例を挙げて説明 |
4)デザインの準備
デザインの準備では、Amazon Merch on Demandの仕様に合った画像ファイルを用意します。推奨されている形式やサイズ、カラーモードなども確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
ファイル形式 | PNG形式(背景透過)、sRGBカラーモードに対応 |
画像サイズ | 4500×5400ピクセル(300dpi推奨) |
ファイルサイズ制限 | 1商品あたり最大25MB、印刷領域内に収まるように調整 |
禁止事項 | 商標侵害・過激な表現・誤認を招く文言など、ガイドラインで制限あり |
※Tシャツの場合の条件です。
5)販売・告知の準備
商品登録が完了したら、いよいよ販売とプロモーションの段階です。Amazon上に自動で商品ページが作成されますが、アクセスを増やす工夫も大切です。
魅力的なサムネイル画像、検索を意識したキーワード、印象に残る商品タイトルや説明文などによって、クリック率に差が出ます。特にブランド名の設定は検索結果にも影響するため、安易な名称よりも統一感のある名前を選びましょう。説明文も作品の背景やこだわりを伝える大事な要素です。
初めのうちは検索結果に埋もれてしまいがちなので、自分からSNSなどで発信していくこともポイントです。販売直後は特に初動が鍵となるため、告知面にもひと手間かけておきましょう。
参考:
Amazon Merchon Demand- 登録手順について|Amazon
【新機能】コスト不要・在庫リスク無しのオンデマンド・プリントサービス 「Merch by Amazon」(マーチ バイ アマゾン)を日本で開始しました|Amazon Seller Central Discussion
Amazon Merch on Demandの審査について
アカウント登録後、実際に販売を始めるには招待制の審査を通過しなくてはなりません。審査内容や通過のポイントについて、誤解の多い点も含めて整理します。
審査は厳しい?
Merch on Demandの審査は、ややハードルが高めといわれています。申請してすぐに通るとは限らず日本からの登録だと見送りになったという声も見かけます。
とはいえ、事前の準備や入力の丁寧さによって結果が変わることもあるため、焦らずじっくり取り組むのがおすすめです。審査には数日から数週間かかることもあるので、スケジュールには少し余裕を持っておくと安心です。
審査落ち、通らない場合に考えられる理由
審査に落ちても、あわてず原因を見直すことから始めましょう。申請内容のちょっとしたミスや情報の不備が、結果に影響しているケースは意外と多いものです。
たとえば、以下のような理由が考えられます。
- フリーメールを使用していた
- 自己紹介が空欄または簡素
- 利用目的が曖昧だった
- ウェブサイトやSNSが未記載
- 連続して申請していた
思い当たることがあれば、次回の申請時には見直してみるとよいかもしれません。

審査に通るコツは?
Amazon Merch on Demandの審査通過を目指す際は、アカウント情報や自己紹介の欄を丁寧に仕上げるだけで、印象が大分変わります。下記を参考に入力内容をもう一度見直してみましょう。
- 自己紹介に具体的な活動内容を記載
- 実名や独自ドメインのメールを使用
- SNSやポートフォリオのURLを添付
- 利用目的は運用イメージが伝わる内容に
Amazon Merch on Demandは稼げる?
売上や収益がどうなるかは、やっぱり気になるところですよね。利益の計算方法を理解して、収益化への現実的なイメージを描いてみましょう。
利益・ロイヤリティについて
Amazon Merch on Demandでは、1枚売れるごとにロイヤリティが発生します。ロイヤリティは、販売価格からAmazon側の手数料を差し引いた金額で計算され、手数料には素材費や印刷代、発送などが含まれています。
たとえば、販売する標準Tシャツの場合、価格ごとのロイヤリティの目安は以下のとおりです。
販売価格 | ロイヤリティ |
---|---|
1,700円 | 63円 |
1,800円 | 137円 |
2,000円 | 285円 |
2,200円 | 433円 |
2,400円 | 581円 |
2,600円 | 729円 |
単価を上げれば受け取る額も大きくなりますが、価格設定によっては購入者の反応が変わります。まずは相場を意識しつつ、自分のブランドに合った水準を試してみましょう。
出典:ロイヤリティ|Amazon Merch on Demand
売れない場合に考えられる理由は?
出品した商品がなかなか売れないと感じたら、まずは基本的なポイントを振り返ってみましょう。たとえば、デザインがありきたりで目立ちにくい、タイトルや説明文が検索ワードと噛み合っていない、価格がちょっと高めに見えるといったことが原因かもしれません。
そのほか、レビューや実績が少ないと不安に思われたり、サムネイル画像の印象が弱くてクリックされにくかったりすることもあります。

【FAQ】Amazon Merch on Demandに関するよくある質問
Amazon Merch on Demandについて、発生しやすい疑問をQ&A形式でまとめました。販売の仕組みやルールをスムーズに把握するためのヒントとして、チェックしてみてください。
売れ筋ランキングとは?
売れ筋ランキングは、Amazonで人気の商品が順位付きで紹介される特集ページです。出品者にとっては、どんなデザインや価格が売れているのかを知るための参考にもなります。ジャンルや系統のトレンドをざっくり把握したいときにも役立つ指標です。
詳しくは以下をご覧ください。
参照:Amazon.co.jp 売れ筋ランキング: オリジナルプリント の中で最も人気のある商品です|Amazon
著作権についてのルールはある?
著作権の扱いにはルールがあり、違反すると公開停止やアカウント制限につながることもあります。Amazonのコンテンツポリシーでは特に、以下のような表現が使用禁止とされています。
- 商標登録されたロゴやキャラクターの無断使用
- 有名人の名前・顔・サインを含むデザイン
- 任天堂やディズニーなどのブランド名の記載
- インターネット上で見つけた画像の流用
- 実在作品と酷似した構図や要素の組み合わせ
参考:コンテンツポリシー|Amazon Merch on Demand

Amazon merch on demandのキャンペーンとは?
Amazon Merch on Demandでは、特定の時期に合わせて販促キャンペーンが展開されています。たとえば、プライムデーやブラックフライデーなどの大型イベントでは、関連アイテムが特設ページで取り上げられます。こうした企画に掲載されると、閲覧数や売上の向上につながるため、タイミングをみながら出品内容を調整するようにしましょう。
参照:クリエイター登録・特集キャンペーン参加受付ページ|Amazon Merch on Demand
「watasiino!!」はオリジナルプリント・刺繍が可能な国産サービス◎
Amazon Merch on Demandは、デザイン登録から販売までの手軽さと、Amazonという大規模プラットフォームを活用できる点で、多くのクリエイターに選ばれています。ただし、海外製造や販売ロジックの違いから、すべてのニーズを満たすのが難しいことも……。
その点、「watasiino!!」は国内生産によるスピーディーな対応と、刺繍を含む細やかな加工に対応できる点が魅力です。加えて、1枚から注文できる手軽さや、法人利用にも対応したサービス設計など、幅広い利用者層にフィットしやすい工夫が詰まっています。
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